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揺れる心～美しい彼女と彼氏の葛藤～
日差しの強い昼下がり、たけしは小春の家のリビングで、一つのラップトップ画面に釘付けになっていた。画面には、プロのカメラマンによって撮影された小春の水着姿のビデオが映し出されている。ビーチで、プールサイドで、自然体で笑顔を見せる彼女は、普段の彼の知っている小春とはどこか違って見えた。
「すごいな…これがプロの力ってやつか…」
たけしは呟きながら、再生される映像に見入っていた。画面の中の彼女は、まるでモデルのように自信に満ち溢れていて、どの角度から見ても美しく、完璧だった。小春の柔らかい微笑みや、少しはにかんだ表情が鮮明に映し出されており、彼はその魅力に一瞬目を奪われた。
「…でも、なんで、こんな姿を他の男たちに見せなきゃいけないんだ…」
心の奥底から込み上げてくる不安と嫉妬。彼女が水着姿を披露していること自体に、彼は抵抗を感じていた。小春が水着姿の撮影をしていると聞いた時、彼は最初、彼女がどんな風に映るのか想像できずにいた。まさか、ここまで綺麗で、ここまで魅力的に撮られているなんて。
「俺だけのものだったはずなのに…」
たけしの胸の中で、今まで感じたことのないような感情が渦巻いていた。彼はいつも、小春を「守りたい」と思っていたし、「誰よりも幸せにしたい」と願っていた。そんな彼女が、他の男たちの視線を集める存在になっていることに、強い嫌悪感を抱かずにはいられなかった。
「どうして、こんなことをしなきゃいけないんだよ…」
彼女が撮影のアルバイトを始めたと聞いたとき、たけしは正直、少し驚いた。小春はもともと内向的な性格で、人前で目立つのは得意ではないと思っていたからだ。そんな彼女が、どうしてわざわざこんな仕事を選んだのか、彼には理解できなかった。
「お金のためっていうのも、わかるけど…」
たけしは頭を抱えた。大学の学費や生活費のために、彼女がアルバイトをしていることは理解できる。小春は、家計を助けるために一生懸命頑張っている。それはわかっているけれど、それでも彼女が水着姿を他の男たちに見られることは耐えられなかった。
「俺だけが、小春のそんな姿を見ていたかった…」
彼の心には、独占欲と嫉妬心が入り混じっていた。小春の美しさは彼だけのものだと思いたい。彼女の笑顔、彼女の柔らかな表情、それはすべて自分に向けられるべきだと信じたかった。だが、現実はそうではなかった。彼女は、彼以外の誰かにも、その美しさを見せている。
「…どうすればいいんだよ…」
たけしは、もどかしさと不安で胸がいっぱいになっていた。小春に「辞めてほしい」と言いたい気持ちは山々だったが、彼女がそれをどれほど真剣に取り組んでいるかも知っている。彼女が自分の力で頑張っている姿を否定するようなことは言いたくなかった。
「でも、やっぱり…」
彼は、もう一度画面を見つめた。そこには、楽しそうにポーズを決める小春の姿が映し出されている。彼女の笑顔はとても輝いていて、見る者すべてを魅了する力を持っているように見えた。
「小春は、こんなにも綺麗なんだ…」
彼女の美しさに見惚れると同時に、それを他の誰かに奪われるような気がして、彼の心は痛んだ。彼女を支えたい、守りたいという気持ちと、彼女を縛りつけたくないという気持ちがせめぎ合い、たけしは自分の感情に翻弄されていた。
「俺のわがままなのはわかってる。でも、どうしても…」
彼は深く息を吐き出し、頭を抱えた。彼女を愛しているからこそ、彼女がどんな道を選んでも応援したいと思っている。それでも、彼女の美しさが他の男たちの目に触れることに耐えられなかった。彼女を独り占めしたい、自分だけの特別な存在でいてほしいと強く願ってしまう自分がいる。
「小春…」
たけしは、胸の奥にある感情をどう表現すればいいのかわからなかった。彼女が自分をどう見ているのか、彼の気持ちをどこまで理解しているのか、それすらもわからなくなっていた。彼女のために、何が正解なのか、それを見つけ出せないまま、彼の心は迷い続けていた。
「俺は、どうすればいいんだろう…」
たけしは、彼女の笑顔を思い浮かべながら、そっと目を閉じた。彼女を守りたいという気持ちと、彼女を自由にしてあげたいという気持ち、その狭間で揺れ動く自分に答えを見つけられずにいた。